農事組合法人から株式会社たる農業生産法人への組織変更について解説

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農事組合法人から株式会社への組織変更

もともと農事組合法人は、農業生産行程の一部の共同化や比較的小規模な農業経営を行うことを前提とした簡便な組織ですので、株式会社と比べるとやはり経営の拡大という面では簡単ではありません。
 
農事組合法人を運営していく中で、将来経営の多角化を図っていきたい、また、農業協同組合法の規制が今後の事業に支障をきたすような場合には、株式会社への変更を考えてもいいかもしれません。
 
以前は農事組合法人から株式会社への変更は認められていませんでしたので、農事組合法人を一旦解散し、持分の払戻しを行い、改めて組合員が出資して別の法人を設立するという流れになっていました。
 
しかし、これはすごく面倒ですよね。
清算財産に係る課税等があったり、解散から新たに設立という手続きが猥雑な上に、数ヶ月は事業を停止せざるを得ない状況に陥ります。
 
そこで円滑に組織変更を図ろうということで、現在では農協協同組合法において、農事組合法人から株式会社への組織片国のための規定を設けて、実際には解散することなく組織変更が可能となりました。

組織変更の手続きの内容

1.組織変更計画の総会承認
  ・株式会社に組織を変更するためには、組織変更計画を作成し、総組合員の3分の2以上の多数の賛成による特別決議が必要になります。
  ・株式会社への組織変更は大変重要な事項になりますので、総会開催日の2週間前までに議案の要領を示して全組合員に通知しなければいけません。
 
 
2.株式会社の記載事項の決定
  ・組織変更後の株式会社の目的、商号、本店所在地、発行可能株式総数、定款で定める事項
  ・監査役や会計監査人の指名または名称その他の事項
 
 
3.登記申請
  ・農事組合法人の解散登記および株式会社の設立登記
 
 
4.組織変更の届出
 

 
なお、組織変更に反対の組合員は、持分の払戻しを請求して農事組合法人から脱退することもできます。

組織変更の手続きの流れ

この章の始めにもお話しましたが、農事組合法人から株式会社への組織変更は、農業協同組合法に基づいて、簡易に行えるようになりました。
 
流れは次の図のようになります。

 

チェック

株式会社への組織変更のタイミング

農事組合法人から株式会社へ法人形態を変更するかどうかのタイミングとして、次のような場合が考えられます。
 
・通常総会開催時のタイミング
農事組合法人は、少なくとも毎年1回は通常総会を開催して、毎事業年度の事業計画を設定します。
そのときに、今後の事業計画を進めていくために株式会社への組織変更が必要かどうか確認、検討します。
 
 
・事業内容、組織体制の変更によるタイミング
1.新規事業を検討するとき
新しく事業を始めようと考えたときに、農事組合法人で行える事業であるかを確認し、株式会社への組織変更が必要かどうか検討します。
 
2.組合員に変更があったとき
農事組合法人からの脱退などで組合員の変更があったときには、農事組合法人の組合員要件を満たしているかを確認し、株式会社への組織変更が必要かどうか検討します。
 
3.従業員が増加したとき
加工所等を新設し、従業員が増加したときには、農事組合法人の常時従事者の要件を満たしているかを確認し、株式会社への組織変更が必要かどうか検討します。