農事組合法人、農業生産法人のメリット、デメリットを解説

MENU

法人化のメリット

まずはじめに伝えておきたいことは、これから様々な利点を見ていきますがそれらは決して法人化すれば自動的に享受されるものではないということです。
法人化をきっかけに経営に対する正しい理解を持ち、しっかりと将来を見据え、自ら農業経営の継続、発展のために邁進する中で生み出され、獲得していくものとして理解する必要があります。
そのためにもどうして法人化をしたいのか、その意義や目的などについてしっかりとした考えを持つことが大切です。

 

 

経営上のメリット

 

経営管理能力の向上

1.経営責任に対する自覚を持つことにより、経営者としての意識改革が促進される
2.家計と経営が分離され、経営管理が徹底される

対外信用力の向上

1.計数管理の明確化や各種法廷義務(設立登記、経営報告等)を伴うため、取引上の信用力が向上する
2.法人となることでイメージが向上し、商品取引や従業員の雇用等が円滑化する

人材の確保・育成

1.法人の役員、社員等の中から有能なものを後継者として確保することが可能になる
2.就農希望者が法人に就職することで、初期負担泣く経営能力、農業技術の習得が可能となる

 

 

制度上のメリット

 

税制面での優遇

1.所得の分配による事業主への課税軽減
2.定率課税の法人税の適用
3.役員報酬の給与所得化による節税(一部制限あり)
4.使用人兼務役員賞与の損金算入
5.退職給与等の損金算入
6.欠損金の7年間繰越控除(青色申告法人に限る)
7.農業経営基盤強化準備金

社会保障制度

1.社会保険、労働保険の適用による農業従事者の福利増進
2.労働時間等の就業規則の整備、給与制の導入による就業条件の明確化

制度融資

1.融資限度額の拡大(認定農業者に限る)
2.スーパーL資金の『円滑化貸付』による無担保・無保証貸付(認定農業者に限る)

農地の取得

1.農地保有合理化法人が農地等を現物出資することにより農地取得の負担軽減
 (農業生産法人出資育成事業)

 

 

法人化のデメリット

法人化は上で見たようなメリットがある反面、事務処理の猥雑さや金銭面での負担が増加することもあります。
それらは法人としての当然の義務や負担として発生するものですが、それらを十分に熟知して法人化を検討する必要があります。

 

 

様々なデメリット

 

税制

・規模が小さいと税負担等が増加することになる
1.所得の少ない経営では負担が増大します。個人経営では所得がない場合は所得税等の負担はないが、法人の場合は利益がなくても最低限地方税を7万円負担
2.会計が企業会計規則によるため手間が増える
3.会計事務や税務申告を専門家等に依頼する場合の経費負担の増加

社会・労働保険制度 1.社会保険等の加入に当たっては経費の負担が必要
運営管理費 1.法人を経営するために必要な、打ち合わせ等の作業の経費の負担
その他

・廃止(解散)する場合の手続きが多少複雑
1.解散に当たっては、法人の財産はすべてを清算することが必要
2.解散から清算完了までは、最低2ヶ月間の期間が必要
3.解散手続き等に当たり、専門家の指導が必要

 

 

農地の移転と課税関係

 

法人への農地提供方法 相続税との関係
売り渡した場合

1.売り渡しに際して、譲渡所得税が課税されます
2.農地の相続問題は解消しますが、法人の出資持分としての相続となります

現物出資した場合

1.現物出資の評価額に対して、譲渡所得税が課税されます
2.農地の相続問題は解消しますが、法人の出資持分としての相続となります

貸付けた場合 1.譲渡所得税の課税はありません

農業生産法人を設立するためには

農業経営の法人化について、駆け足で見てきましたがいかがでしたでしょうか。
農業法人を設立する場合、法人形態や構成員をどうするのかは重要なポイントになります。

 

会社法人にするのか、農事組合法人にするのか。
または構成員を家族だけの同族法人にするのか、気の合う仲間と一緒に作るのか。
法人形態の選択に当たっては、家族や仲間、地域事情や資金等の現時点での状況判断だけではなく、将来どのような農業法人にしていきたいかも含めた長期的な視点も大切になってきます。

 

次の項目では、法人選択の判断材料として、それぞれの農業生産法人の比較をしてみます。

 

農業生産法人の比較